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仙台高等裁判所 昭和37年(ラ)5号 決定 1962年5月14日

抗告人 今清作

主文

本件抗告を棄却する。

理由

本件抗告の理由は別紙記載のとおりである。

しかしながら当裁判所も次の判断を附加するほかは、原決定と同様の理由によつて抗告人の本件行政処分執行停止の申立は失当として棄却すべきものと判断するので、原決定の理由記載を引用する。

一、抗告理由四の(1)、(2)について。しかし次点者今長十郎が繰上当選によつて理事に就任したのは本件執行停止命令申請以前に本件行政処分(当選取消処分)の結果生じた効果というべきであるから、論旨の理由ないことは前説示により明らかである。

二、同四の(3)について。しかし論旨は立法論として考慮するはともかく、現行行政事件訴訟特例法第一〇条の規定の解釈としては前説示のとおりで、採用できない。

よつて原決定は相当で、本件抗告は理由がないから、民事訴訟法第四一四条、第三八四条に従い、主文のとおり決定する。

(裁判官 村上武 上野正秋 新田圭一)

抗告の理由

一、被申立人たる青森県知事の本件行政処分の違法たるは原審提出の申立人申立書及疏明書類より一点の疑もない。

二、又右違法処分により申立人が重大なる損失を蒙りつつあるはこれ亦右により明かである。

三、然るに原決定は執行停止決定をなし被申立人の違法処分の効力を停止しても申立人の理事たる身分が回復せられないとの理由をもつて申立人の申立を棄却した。

四、併しながら右決定は左の事由よりしてあやまつている。

(1) 申立人の理事当選が取消された結果理事一名が補充せられたのは新たな選挙等新しい行為によるのでなく、単に申立人が失格したということで次点者が繰上げ当選とせられたものに過ぎない。

(2) 従つて申立人が理事たる身分を回復せば当然次点者は次点者たる地位に復帰するものであつてこの間何等特別の行為を必要とするものでない。

(3) 若し原決定の如く解するならば執行停止の規定を空文とするに等しい。何となれば執行停止の処分をするには必ず当事者の意見を聞くを要するのでありこの間相当日時を要するのであつてこの間違法行政処分を前提とする何等かの事態が生ずることが一般でありかかる前提とする事態に執行停止処分の効力が及ばないとせば殆ど執行停止の決定をなし得る場合がないからである。

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